今回のテーマは以前にもご紹介をした「空家等対策特別措置法」についてです
特定空家等とは?
特定空家等には定義が4つあります
①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
②著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
上記の4つの状態にある空家等が特定空家等に指定されます
特定空家等に指定されるとどうなるのか?
特定空家等の指定されると、具体的にどのようなことが起こるのでしょうか
①助言又は指導
まずは、自治体から助言や指導が入ります。このときに素直に是正をすれば不利益を被ることや罰則はありません
②勧告
助言又は指導を無視し、空家を放置し続けると今度は勧告を受けます。
勧告を受けると『住宅用地の特例措置』が適用されず、固定資産税が減税されなくなります。
恐ろしいですね…
③命令
それでも無視を決め込んでいると今度は命令が下されます。こうなると、とうとう50万円以下の過料が科されてしまいます!
そんな大金をいきなり払えと言われても困ってしまいます
※過料とは行政法規上の義務違反に対して少額の金銭を徴収する罰のこと
④行政代執行・略式代執行
・行政執行→特定の空家等の所有者等に代って行政が強制的に措置を行うこと
・略式代執行→空家等の持ち主が特定できない場合に行政が措置を行うこと
最終的には行政が強制的に空家を解体してしまいます…
この解体にかかった費用は払えないとなると差押等で回収になってしまいます
でもまさか、脅しているだけで本当に解体されたりなんかしないよね?
と思っていたら大間違いです!本当に解体されてしまいます!
国土交通省発表の行政執行件数・略式代執行件数
国土交通省が平成27年~令和元年までに行った行政代執行の実績件数(累計)を公表しています。
その数なんと全国で69件!結構多いですね…
群馬県では大泉町で1件の執行がありました
続いて略式代執行の件数ですが
全国で191件!かなりの数です
群馬県では前橋市2件、下仁田町で1件の執行がありました
これで行政代執行がただの脅しでないことがわかりますね
行政代執行・略式代執行の事例
こちらも国土交通省が公表していますが、実際に代執行した例が挙げられています
行政代執行例
千葉県で行われた行政代執行です
建物は鉄骨造りの3階建てです。延べ床面積は38.5㎡
老朽化により建物の一部が崩落したため、市が所有者に建物の除去を訴えましたが経済的事情により改善が見られなかったため行政代執行が
実施されました。
始めの指導は平成23年頃、代執行に至ったのは平成29年でした。なんと所有者は6年もの間危険な建物を放置し続けたのです。
さて、気になる解体費用ですが約1,040万円になったそうです!回収方法は差押予定です。
鉄骨造だったからなのか、かなりの解体費用がかかっていますね。
略式代執行例
今度は新潟県で行われた略式代執行です
建物は木造及び鉄筋コンクリート造との混合の旅館でした。延べ床面積は633.1㎡
雪の重みで屋根の一部が崩落してしましました。所有者は法人でしたが10年以上前に解散しており所有者の確知ができない状態でした。
このまま放置すれば積雪で建物が崩壊することは避けられず、建物除去の略式執行が実施されました。
解体費用はこちらも約1,040万円です!
略式代執行の場合、所有者が不明なのでまずは支払義務者を判明させ、その後費用を徴収します
義務者が支払いをしない場合には市町村などが民事訴訟を起こし、最終的には強制執行に訴えることになるそうです
※代執行で解体されると、解体業者などを選ぶことができないので金額が高くなる可能性があります
特定空家等に指定されないために
放置された空き家には所有者の方の色々な事情があると思います
それでもやはり、崩壊するおそれのある空き家を放置したり、近隣住民の方に迷惑がかかった状態で放置するべきではありません
放置せず、きちんと定期的に管理を行っていれば特定空家等にいきなり指定されることはありません。
ご自身での管理が難しい場合には行政や、空き家の管理を行っている会社等へ是非相談してみてください。
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